[拡大スクリーニング検査について]
当事業団では、現在、新生児マススクリーニングとしてタンデムマス法等を用いた20疾患の早期診断を目的とした検査を栃木県の委託事業として実施しております。
以前は治療ができなかった脊髄性筋萎縮症と免疫不全症に対して、近年、検査法・治療技術の進歩によって早期発見、早期治療を行うことで症状の改善が見込まれるようになりました。
このことから、2疾患に対する新生児マススクリーニング体制の確立を目的とし、自治医科大学、獨協医科大学、済生会宇都宮病院との共同研究として、当事業団において、令和4年4月より栃木県の新生児マススクリーニングに2疾患を追加項目とした拡大スクリーニング検査を開始することとなりました。
[対象・検査費用について]
栃木県で出生したすべての新生児が対象です。令和4年度(令和4年4月1日~令和5年3月31日)は、一般社団法人日本小児先進治療協議会からの補助金を活用しますので、無料で検査を受けることができます。
[検査方法について]
現在、栃木県の委託事業として実施している、新生児マススクリーニングで使用する“ろ紙血”を用いてDNAを抽出しPCR検査を実施します。また、結果は、産科施設を通して対象者へ通知することとなります。
※追加の採血等はありません。
[検査の申込方法について]
この検査は、臨床研究であるため、産科施設の先生からの説明を受け、参加に同意される場合は、“研究参加同意書(ピンクの用紙)”に説明を受け理解した旨のチェックと署名または記名押印して産科施設へ提出してください。
この検査は、任意の検査です。
多くの赤ちゃんが、健やかに育つように検査を受けることをお勧めします。
? 脊髄性筋萎縮症(SMA)
運動神経や筋肉が育たずに筋力の低下や筋肉の萎縮が進んでいく遺伝子の病気です。
“お座りができない” “首がすわらない” など、気が付いた時には、かなり症状が進行していて、治療を始めても十分な効果が見込めない場合があります。
? 免疫不全症
生まれつき免疫機能がうまく働かないことから病原体に弱く、感染症にかかりやすい病気です。
生後、高熱や重篤な肺炎、敗血症、髄膜炎などを繰り返し、命にかかわることもあります。
また、BCGやロタウイルスワクチンなど生ワクチンによる予防接種の後に、ワクチンの病原体による重い感染症をおこすことがあります。
ワクチン接種を受ける前に診断されることが重要です。
※すべての脊髄性筋萎縮症、免疫不全症が見つかるわけではありません。
※この検査はスクリーニング検査です。精密検査が必要とされた場合でも“病気ではない”と判定される場合もあります