保健衛生事業団 設立50周年記念誌

変化の時代における不変の使命 ―栃木県保健衛生事業団設立50周年に寄せて― 尾身 茂 理事長 公益財団法人結核予防会 この度は、設立50周年という大きな節目を迎えられましたことを、心よりお祝い申し上げます。 結核予防を原点として始まった貴支部の歩みは、地域の健康課題の変化とともに着実に広がり、健 診事業、がん検診、各種検査事業へと発展してまいりました。その半世紀は、常に地域の声に耳を傾 け、必要とされる役割を的確に担ってこられた歴史であります。関係機関との連携のもと、質の高い 事業を継続し、県民の信頼を築いてこられたご努力に、深く敬意を表します。 私自身、長年感染症対策の現場に携わる中で、結核対策の転換期を経験してまいりました。患者数 が減少する一方で、現場の知見の継承や体制の維持が新たな課題となることを実感してきました。感 染症は、社会の変化や人の移動とともに姿を変えながら現れます。その意味で、組織として経験を蓄 積し、不断に備える姿勢が何より重要であります。 さらに近年、世界的な新興感染症の拡大を通じて、私たちは感染症対策の難しさと同時に、公衆衛 生の重要性を改めて認識いたしました。科学的知見に基づきながらも、社会との対話を重ね、持続可 能な対応を模索することの重みを痛感した数年でありました。この経験は、結核をはじめとする感染 症対策にも多くの示唆を与えています。 そのような転換期にあって、貴事業団がAIを活用した診療支援に取り組まれていることは、時代 の要請に応える意義深い挑戦であります。胸部画像診断支援などの技術は、医療の質の向上と効率化 を同時に実現し、地域医療の持続可能性を高める可能性を有しています。しかしながら、どれほど技 術が進歩しても、その中心にあるのは「人」であります。専門職の判断と倫理、そして地域との信頼 関係こそが、技術を真に活かす基盤であります。 50年の歩みは、単なる歴史ではなく、未来への礎であります。予防から健康づくりへ、そして人と 技術の調和へと、公衆衛生はさらに深化していくでしょう。これまで培ってこられた経験と信頼を礎 に、新たな時代の健康づくりを力強く牽引されることを心より期待しております。 貴事業団のますますのご発展と、県民の皆さまのご健勝を祈念し、お祝いの言葉といたします。 Tochigi Public Health Service Association 8

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