先天性代謝異常症等検査

先天性代謝異常症等検査

 先天性の病気のなかには、生後早い時期に採血し検査することで診断できるものがあります。早期発見し治療することで、知能の障害や重い症状の発生を防止できるものがあり、このような取り組みは全国で行われています。

 

特徴

 栃木県内で出生した生後5日~7日の新生児を対象に検査を実施しています。平成24年10月よりタンデムマス法を開始し、アミノ酸代謝異常症、有機酸代謝異常症や脂肪酸代謝異常症などの19疾患を対象としています。
 なお、検査料は公費負担となっています。

 

検査項目

代謝異常症(栄養素の利用障害)対象17疾患

1.アミノ酸代謝異常症検査(5疾患)
 私たちの体では、食べ物から摂ったたんぱく質を消化・吸収してアミノ酸に分解します。アミノ酸はさらに代謝を受けいろいろな組織に運ばれ利用されますが、アミノ酸代謝異常症は、アミノ酸が代謝する過程で必要な酵素が生まれつき欠損していたり、うまく働かないためにおこる病気で、どのアミノ酸が代謝されないかによって病名が分類されます。この病気は知能や運動の発達が遅れたりしますが、早期に発見し治療を開始すれば症状を未然に防止することができます。検査はタンデムマス法により代謝されずに蓄積するアミノ酸を測定しています。
○フェニルケトン尿症
○メープルシロップ尿症
○ホモシスチン尿症
○シトルリン血症
○アルギニノコハク酸尿症

2.有機酸代謝異常症検査(7疾患)
 食べ物のたんぱく質が消化・吸収されアミノ酸に分解された後、さらに代謝が行われますが、その代謝の機能が低下していると有機酸という物質が体の中に蓄積してしまいます。この病気を有機酸代謝異常症といいます。有機酸が蓄積すると、哺乳不良、嘔吐を繰り返すなどの症状が見られます。体調が悪い時に突然ぐったりしたり、発達や発育の遅れで発見される場合もあります。しかし、症状が出る前に早期に発見して治療し、管理を行えば障害を未然に防止することができます。検査はタンデムマス法により7つの病気を対象に行っています。
○メチルマロン酸血症
○プロピオン酸血症
○イソ吉草酸血症
○メチルクロトニルグリシン尿症
○ヒドロキシメチルグルタル酸血症(HMG血症)
○複合カルボキシラーゼ欠損症
○グルタル酸血症Ⅰ型

3.脂肪酸代謝異常症検査(4疾患)
 私たちは食事から栄養を摂りエネルギーとして利用しますが、体内に貯蔵した脂肪をエネルギーとして利用する場合があります。脂肪酸代謝異常症は、その貯蔵した脂肪からエネルギーを作り出す代謝過程に障害がある病気です。このため、空腹時、運動時や発熱時などで体がエネルギーを必要とする状態になると症状が現れます。多い症状は、けいれんや意識障害です。脂肪酸代謝異常症の症状は個人差がありますが、タンデムマス法によって早期に検査を行って治療し管理すれば症状を未然に防止することができます。
○中鎖アシルCoA脱水素酸素欠損症(MCAD欠損症)
○極長鎖アシルCoA脱水素酸素欠損症(VLCAD欠損症)
○三頭酵素/長鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酸素欠損症(TFP/LCHAD欠損症)
○カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-Ⅰ欠損症(CPTⅠ欠損症)

4.ガラクトース代謝異常症検査
 食べ物から摂った糖質は体内で分解・吸収されますが、この代謝される過程で必要な酵素の働きに障害があるため、ガラクトースなどが代謝されずに蓄積してしまう病気をガラクトース血症と言います。症状は嘔吐や下痢などの消化器症状、体重増加不良、肝脾腫や黄疸のほか白内障が起こる場合があります。身体の発育の遅れ、知能障害、また肝障害や敗血症を引き起こす重症型もありますが、一時的にガラクトースが高くなる例も多く見られます。検査は血液中のガラクトースを測定しています。検査を受けることで病気を早期に発見し、ガラクトースを含まない特殊ミルクを飲む等の治療を行えば発症を防止することができます。

 

内分泌疾患(ホルモンの異常)対象2疾患

1.先天性甲状腺機能低下症検査
 甲状腺は体の代謝を調節するために大切な甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは生後の成長、発育に特に重要でこれが不足すると知能障害を引き起こします。この病気は、甲状腺が正常の場所にない、形が完全ではない、甲状腺そのものがなかったりするために甲状腺ホルモンが分泌されない病気です。しかし、生後5~7日の血液中のTSHという物質を測定して早く病気を発見し、治療を開始すれば知能障害を防止することができます。

2.先天性副腎過形成症検査
 この病気は体の中の副腎という臓器で作られる性分化や生命を維持するために必要なホルモンが、 生まれつき不足する病気です。このため女の子が男の子に間違われたり、脱水をおこして死亡したりすることもあります。そこで、生後5~7日に血液中の17-OHPという物質を測定して早く病気を発見し、治療を開始することで救命、発達障害を防ぐ検査です。