集団検診では、胸部X検査、胃部X線検査、マンモグラフィ、など放射線を用いた検査がいろいろあります。検査を受けていただく方にとって心配なのは、どの程度被曝をして、体にはどんな影響を受けるかということだと思います。はじめに言ってしまえば、検査による被曝はごくわずかなもので、体に現れる影響はほとんどありません。そのことを分かりやすく、Q&A方式を使って説明します。
A. 胸部・胃部X線検査では、人体に影響を及ぼすほどの放射線を使っていませんので大丈夫です。多少の放射線被曝によるリスクはありますが、X線検査により得られる早期発見という利益はリスクより非常に大きいと考えられます。下表に、検査の大まかな被曝線量を示します。
表.各検査の大まかな被曝線量
検査法 | 実効線量[mSv] |
---|---|
胸部デジタル | 0.05 |
胃部デジタル | 1~2 |
マンモグラフィ | 0.3 |
自然放射線(年間) | 2.4 |
A. 100万人が、胸部X線検査を受けると肺がんが少なくとも400~500人程度、肺結核が50~100人程度発見されています。また胃部X線検査を受けると、胃がんが1500人程度、潰瘍等が10,000人程度発見されています。
それに対して検診を受けて白血病やがんになる可能性は、胸部X線検査で100万人に対して1.4人、胃部X線検査で20人と考えられます。しかし検診を受けなくても、白血病は1年間で100万人に70人程度発生しており、その他のがんにはもっと多くなると言われています。したがって、リスクは非常に小さいといえます。
A. マンモグラフィ検診の放射線が人体へ及ぼす危険性はほとんどありません。1回の撮影で乳房が受ける放射線の量は東京-ニューヨーク間の飛行機の中で受ける宇宙からの自然の放射線量の約半分です。
A. 検診では妊娠している方、またその可能性のある方はお断りしています。しかし、もし検査後に妊娠に気付いた場合でも妊娠を継続して問題はないと思われます。
胸部X線検査では放射線が胸だけにあたるようにしていますし、胃X線検査で胎児が受ける被曝線量もわずか数mGyです。奇形が発生する胎児の被曝線量は100mGy以上といわれていますのでX線検査が原因で奇形が発生することはないと思われます。
しかし、もし不安であれば専門医への受診をお勧めします。
参考文献