簡易専用水道検査について

簡易専用水道検査について

Q1 簡易専用水道に関する制度とは何か?

A. 一般に、高層のビルやマンションなどの給水は、水道事業者から供給された水をいったん受水槽に受け、これからポンプで屋上等に設けた高置水槽に揚水し、各階各戸に給水する受水槽式がとられている。 昭和52年以前は、受水槽以下の水道については、大部分が専用水道に該当しないために水道法の規制対象から除かれており、その管理が適切に行われていないことなどにより、水の衛生管理面での問題が指摘されてきた。 そのために、昭和52年の水道法改正によって受水槽の有効容量が20m3を超えるものについて、新たに簡易専用水道として規制の対象とされた。 また、昭和60年11月に水道法施行令の一部改正が行われ受水槽の有効容量に係る規制対象範囲が10m3を超えるものまでに拡大され、昭和61年11月1日から施行されている。 (1)規制対象施設 規制の対象となる施設は、以下のものをいう。 ①水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とする受水槽式の給水施設。 ②受水槽の有効容量(水槽において適正に利用可能な容量-最高水位と最低水位との間の容量)が10m3を超えるもの。 ③専用水道の適用を受けるものは除かれる。 ④利用する人数等には関係はない。 ⑤事業所等に設置されるもの及び消防用の設備として設置されるものであって、全く飲用に供されないもの、並びに船舶、航空機等に設置するものは除かれる。 【備考】「水道法第3条7号・施行令第2条」及び昭和53年4月環水第49号

Q2 受水槽を設ける理由は何か?

A. 配水管の最小動水圧は150~200kpA(1.5~2.0kgf/cm2)が標準であり、以下のような場合には、受水槽式によることが原則である。 (1)3階以上への給水のように配水管の水圧が所要圧に比べて不足する場合。 (2)一時的に多量の水を必要とする場合。 (3)配水管の水圧の変動にかかわらず常時一定の水量を必要とする場合。 (4)配水管の断水時にも最小限の給水を確保する必要がある場合。

Q3 簡易専用水道の管理基準はどのようなものか?

A. 簡易専用水道の維持管理に関し、設置者は水の安全性を確保するため、以下の管理基準によって管理しなければならない。 (水道法第34条の2、同施行規則第55条) (1)水槽の掃除 水槽(受水槽・高置水槽)の掃除を1年以内ごとに1回、定期に、行うこと。 (2)定期点検・汚染防止措置 水槽の点検等有害物、汚水等によって水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること。 (3)水質検査の実施 給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により給水に異常を認めたときは、水質基準に関する省令の表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。 (4)給水の緊急停止 供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること。

Q4 簡易専用水道の設置者が行う管理の範囲はどの程度が適当か?

A. 水道法施行規則第55条の管理基準に基づき、管理を実施していく必要がある。具体的には、「水槽の掃除」を1年以内ごとに1回実施するとともに、「水槽等の点検」を月に1回、「給水栓における水質検査」を1日1回程度行うことが望まれる。 また、自主点検記録票を作成し、記録を保存していくこと及び「給水栓における残留塩素の有無の検査」についても、定期的に行うことが望ましい。 なお、建築物衛生法の適用がある簡易専用水道については、同法の規定により管理を行う必要がある。

Q5 水槽の掃除後に水質検査を行う必要はあるか? また行うべき検査項目は何か?

A. 簡易専用水道に関しては、掃除後の水質検査について特に規定されていないが、建築物衛生法では水槽の掃除を行った後に末端給水栓及び水槽において、色度、濁度、臭気、味の検査及び残留塩素の含有率の測定を行うことが規定されている。 【参考】「空気調和設備等の維持管理及び掃除等に係る技術上の基準」 (平成15年3月25日厚生労働省告示第119号)

Q6 簡易専用水道の設置者は、残留塩素濃度の測定を定期的に行う必要があるのか?

A. 定期的な残留塩素濃度の測定を行う義務はないが、実施することが望ましい。 なお、地方自治体によっては残留塩素濃度の定期的な測定の実施を指導している場合もある。 ただし、建築物衛生法該当施設は、同法の規定により7日以内に1回の定期的な測定が義務づけられている。
(本文Q15参照)

Q7 水槽の掃除を設置者自身で行ってもよいか? また、その際どのような記録が必要か?

A. 設置者自ら水槽の掃除を行っても差し支えない。なお、掃除方法については、「空気調和設備等の維持管理及び掃除等に係る技術上の基準(平成15年3月25日厚生労働省告示119号)」の規定に基づき実施する。また、掃除に際しては健康管理を十分に行い、少なくとも掃除を実施する6カ月以内に健康診断(検便等)を受けることが望まれる。 掃除記録としては、実施年月日、場所、実施者、作業内容、点検および補修状況、消毒薬品名等が挙げられる。また、掃除実施前後の写真等を整理しておくことも必要である。 【参考】「新 貯水槽の衛生管理」(第3刷)平成21年8月発行 財団法人ビル管理教育センター編

Q8 簡易専用水道の検査目的(意義)は?

A. 簡易専用水道の設置者は、一年以内ごとに一回、定期に、地方公共団体の機関または厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならないものとされている。 この検査については、設置者自らがその管理の適否について専門的な知識を有する者の検査を受けることによって、当該水道により供給される水の衛生確保をより実効あるものとするためのものである。

Q9 簡易専用水道の検査項目はどのようなものか?

A. 検査は当該簡易専用水道の設置者の依頼に基づき、設置場所で行う現場検査が原則である(ただし、建築物衛生法該当施設の提出書類検査を除く)。検査内容は(1)施設の外観検査、(2)給水栓における水質検査、(3)書類検査であり、その項目は以下に示すとおりである。 (1)施設の外観検査 ①水槽等に有害物、汚水等衛生上有害なものが混入するおそれの有無についての検査 ②水槽及びその周辺の清潔の保持についての検査 ③水槽内における沈積物、浮遊物質等の異常な存在の有無についての検査 [これらの検査は、簡易専用水道の維持管理の状態がその水質に一見明白な障害を与えるおそれのあるものであるか否かを検査するものであり、水槽の水を抜かずに判断できる範囲で検査を行うこと。] (2)給水栓における水質検査 ①臭気、味、色、色度及び濁度に関する検査 ②残留塩素の有無についての検査 (3)書類検査 ①簡易専用水道の設備の配置及び系統を明らかにした図面 ②受水槽の周辺の構造物の配置を明らかにした平面図 ③水槽の掃除の記録 ④その他の管理についての記録 【参考】「簡易専用水道の管理に係る検査の方法その他必要な事項について」 (平成15年7月23日厚生労働省告示第262号)(一部改正 平成16年3月8日)

Q10 建築物衛生法該当の簡易専用水道の設置者は、管理状況を示す書類を検査機関に提出することにより、検査(「提出書類検査」)を受けることができるのはなぜか?

A. 建築物衛生法の適用を受ける特定建築物は、当該特定建築物の維持管理について権限を有する者が、衛生的環境の確保を図るために建築物環境衛生管理基準に従って、維持管理することが義務づけられている。また、これらの維持管理の監督にあたらせる者として建築物環境衛生管理技術者免状を有する者から、建築物環境衛生管理技術者を選任しなければならないとされている。 すなわち、建築物衛生法適用の簡易専用水道施設においては、専門的知識を有する者が、管理基準に従い給水の点検等、維持管理を行っており、従って、その管理状況を示す書類を設置者が検査機関に提出することで、検査設置場所で行われる「現場検査」に替えて行っても差し支えないこととしている。 【参考】「簡易専用水道の管理に係る検査の方法その他必要な事項を定める告示について」平成15年8月4日(健水発第0804001号)

Q11 FRP製パネル型水槽の接合部から漏水している場合、どのように対応すべきか?

A. 漏水のみであり、衛生上問題が生じるおそれは少ないと思われるので、通報施設ではないと考える。ただし、著しく漏水している場合には、衛生上問題がある場合も考えられるので検査員は、設置者に対して管轄都道府県知事等にその旨報告をするよう助言を行うこと。 FRPは熱の影響を受けやすく、季節などにより若干の膨脹、収縮を繰り返すことがあること、また、水槽は水の上下動による荷重変動を受けること等により、FRP製水槽のパネル接合部には軽微な漏水が発生しやすい。軽微な漏水も望ましいことではないので補修を助言する。

Q12 FRP製水槽の接合部からの漏水箇所の補修方法は?

A. 補修方法には、ボルトの増し締め、パッキン(シール剤)の交換、接合部の内部からの樹脂コーティング等の方法があるが、専門家等にその調査、補修を依頼することが望ましい。 なお、パネル式水槽においてボルトの増し締めを容易に行うと、水槽を組み立てる力のバランスが崩れて他の場所から漏水する場合があり、専門家に任せることを助言する。

Q13 FRP製水槽の複合板の化粧パネルがヒビ割れている場合の助言はどのようにすればよいか?

A. 化粧パネルはあくまでも水槽の保温効果を高めるなどのために設置されており、本体と判断するかどうかと考える。化粧パネルのヒビ割れにより内部の保温材の効果が失われる等の影響も考えられるので、その他の助言事項としてヒビ割れ部分の補修等の必要性は助言すべきと考える。

Q14 FRP製、または鋼板製水槽にある隙間の補修方法は?

A. パネル接合部に充填されているシール剤の劣化により隙間が生じた場合には、パネルを分解してシールを行う必要があるが、水槽外から接合部に弾性樹脂シーリング材等を用いて、隙間が生じないよう充填する方法もある。

Q15 FRP製水槽の未使用電極穴が、カバー内で開放している場合の助言は?

A. 電極穴を密栓プラグで塞ぎ、容易に開放出来ないように横から六角穴ビスでとめる。また、カバー内が鳥や小動物の住処とならないようカバーの信号ケーブル導入穴を樹脂充填等で密閉する。

Q16 FRP製水槽のガラス繊維の露出が認められる場合、状況判断の目安と助言方法は?

A. FRP製水槽の著しいガラス繊維の露出により水槽に亀裂などが、生じるおそれがある場合には、水槽本体の状態で判断する。 また、FRP製水槽の著しいガラス繊維の露出により、水槽上部にガラス繊維が、堆積している場合には、水槽上部の状態で判断する。 さらに、FRP製水槽の劣化により、著しいガラス繊維の露出し水槽の内部に光が透過している場合には、水槽の内部の状態で判断する。 いずれにしても、目視にてガラス繊維の露出が著しく確認された場合には、水槽寿命の延命及びガラス繊維の給水への混入防止などを図るために、水槽の塗装などを助言する。 なお、塗装に当たっては、水槽メーカーまたは水槽塗装の専門業者に依頼するよう助言する。

Q17 コンクリート製水槽の防水工法にはどのようなものがあるか?

A. 防水モルタルの塗り付け、エポキシ樹脂パテや塗料の刷毛塗り、または、スプレー等の方法がある。

Q18 本体、マンホール蓋に付着したコケの判定と改善法は?

A. 写真のように著しくコケが確認される場合は、不適と判断する。改善法はホコリなどと同様に、本体、または、上部の掃除を定期的に行うよう助言する。

Q19 一体成型及びパネル式FRP製水槽の上部たまり水について、適正な助言方法は?

A. FRP製水槽については、天井部の支持方法別に改修を実施する必要があるため、水槽製造メーカー等に依頼して実施するように助言する。 [天井部には1/100程度の勾配が必要とされている。] (対策例)・(パネル水槽)天井支持補強材締め付けボルトの締め直し。 ・内部支柱の取り付けまたは延長。 ・FRPによる凹面の補修。 ・水槽上部に屋根を取り付ける。 なお、上記の改修を実施するまでは、パネル接合部に弾性樹脂シーリング材を充填する等の防水強化対策を実施するよう助言する。

Q20 FRP製水槽に藻類が発生している場合は、どのように助言すればよいか?

A. 末端給水栓において残留塩素が検出され、水質に影響を与えていない場合には、水槽内に藻が発生しないように有効な措置を講じるよう助言する。 具体的な方法としては、水槽の掃除の回数の増加、水槽内に光線が入らないよう表面塗装する方法等がある。 なお、水質に影響を与えている場合は、「衛生上問題がある」として検査員が設置者に対し管轄都道府県知事等にその旨報告をするよう助言を行うこと。 【参考】昭和61年6月「FRP製高置水槽藻類増殖対策研究専門委員会」による調査研究報告によると、「水槽の照度を0.1%以下にすれば、全国各地の気象条件下でも藻類の増加を防止することが可能と考えられる。」とされている。 ※JISでは、水槽照度率を0.1%以下と規定している。 水槽照度率(%)=水槽内部照度/水槽外照度×100(晴天時10時~14時)