簡易専用水道検査について

簡易専用水道検査について

<簡易専用水道の制度と管理について>

Q1 簡易専用水道とは?

A. 高層のビルやマンション等に見られる水道の種類です。水道事業者から供給された水をいったん受水槽に受け、ポンプで施設内に給水する方式を指します。
その定義については、水道法によって以下の通り規定されています。
①水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするもの
②飲用に供されるもの(井戸水は除く)
③受水槽の有効容量(最高水位と最低水位の差分)が10?を超えるもの
④専用水道には該当しない水道である

Q2 なぜ受水槽を設ける必要があるの?

A. 様々な理由がありますが、代表的なものは以下の通りです。
①通常の配水では水圧が不足してしまう場合(高層ビルの上階等)
②一時的に多量の水を必要とする場合(調理施設、工場等)
③常時一定の水圧が必要な場合(研究機関等)
④断水時にも最小限の給水を確保する必要がある場合(病院、学校等)
⑤汚水等が逆流する可能性のある場合(化学物質を扱う工場等)

Q3 受水槽にはどんな種類があるの?

A. 一般的な受水槽は、材質別に以下の種類があります。
①FRP製
プラスチックをガラス繊維で補強したもので、軽量かつ安価で耐食性にも優れていますが、強度や硬度、紫外線耐性が低く、また可燃性があります。
②ステンレス製
軽量で強度が高い性質がありますが、他の材質と比較すると高価であり、塩素に弱く内部に錆が生じることもあります。
③鋼板製
耐食性、耐久性共に高いですが、一体構造の溶接型のため非常に重く移動が困難であり、また結露が生じる可能性があります。
※その他にも、コンクリート製や木製の水槽も存在しています。

Q4 屋上に高置水槽を設ける意味ってなに?

A. 簡易専用水道には高置水槽の有無で2つの方式があり、 以下の通りメリットとデメリットが存在します。
①加圧方式:受水槽のみで高置水槽なし
受水槽に受けた水を、加圧ポンプ等で各所へ直接給水する方式です。管理が簡単である反面、停電等の非常時の対応が鈍くなる可能性があります。
②高置水槽方式:受水槽と高置水槽を併用
受水槽に受けた水を、ポンプでいったん高所の高置水槽へ溜めておき、必要に応じて重力落下で給水する方式です。水槽が複数あるので管理に手間がかかりますが、緊急時にも高置水槽に溜まっている分の給水が可能になります。

Q5 どうやって簡易専用水道を管理すればいいの?

A. 簡易専用水道の設置者は、水の安全性を確保するため以下の管理基準を守らなければなりません。
①水槽の清掃を年に1回以上定期に行うこと
②水槽の定期自主点検(Q7を参照)
設置者で定期的な自主的な定期点検を行い、記録として保管して下さい。栃木県では月に1回以上の頻度で行うことが推奨されています。もし欠陥を発見したときは、速やかに改善の処置を講じて下さい。
③給水末端における水質検査の実施
栃木県では残留塩素の測定を週1回以上、外観検査(色、濁り、臭い、味)の測定を毎日実施することが推奨されています。
④給水の緊急停止
万が一、給水する水が人の健康を害する恐れがあると知った場合、直ちに給水を停止して、かつ関係者に遅滞なく周知する必要があります。
⑤法定検査(簡易専用水道検査)の受検(Q9以降を参照)
年に1回以上、地方公共団体の機関または厚生労働大臣の登録を受けた者(登録検査機関)の検査を受ける必要があります。

Q6 受水槽の清掃ってどうやるの? 自分で行ってもいいの?

A. 設置者自ら行っても差し支えありません。ただし以下の点に注意して下さい。
①清掃の方法は、「空気調和設備等の維持管理及び掃除等に係る技術上の基準(平成15年3月25日厚生労働省告示119号)」を参考にする。
②十分に健康管理を行い、清掃を実施する6か月以内に健康診断(検便等)を実施することが望ましい。
③実施年月日、場所、実施者、作業内容、使用薬品等の記録を取り保管する。

Q7 水槽の定期点検って何をすればいいの?

A. 以下のチェックポイントを中心に、水槽や付帯設備の異常を確認して下さい。
①周囲は清潔か
②水槽にひび割れはないか
③汚水等に汚染されていないか
④水槽内に異物の混入はないか
⑤マンホールの施錠は完全であるか
⑥オーバーフロー管の防虫網は完全であるか
⑦通気管の防虫網は完全であるか

Q8 私の施設は特定建築物に該当するんだけど、注意する点ってある?

A. 建築物衛生法に該当する特定建築物では、専門的な知識や免状を所有する建築物環境衛生管理技術者を選任し、管理基準に従って維持管理を行うことが義務付けられています。
よって簡易専用水道施設においても、当該施設では日常から十分な維持管理や点検を行われているため、その管理状況を示す書類を検査機関に提出することで、現場での検査に替えても差し支えありません。

<簡易専用水道検査について>

Q9 簡易専用水道検査ってなに?

A. 簡易専用水道の設置者は、1年に1回以上定期に、地方公共団体の機関または厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければなりません。
この検査は設置者の水道の管理について、専門的な知識を有する者に適否を判定してもらい、水の衛生確保に実効性を持たせる意味があります。
なお、簡易専用水道検査は水道法に規定された設置者への義務であり、怠った設置者には罰則(100万円以下の罰金)が適用されることもあります。

Q10 検査の流れを教えて

A. 以下のページを参照してください
<申し込みおよび検査の流れ>

Q11 検査中って水が止まったりするの?

A. いいえ。施設の衛生状態を外観検査で実施しますので、水が止まったりすることはありません。ただし、末端の給水栓から一定量の水を流し、水質検査をさせていただきます。

Q12 検査の時に必要なものってなに?

A. 当日に用意して頂くものは以下の通りです。
(1)書類関係
 ①給排水系統図、水槽周囲の構造物の配置図 ※施設施工図等で確認します
 ②水槽の清掃記録 ③水槽の管理点検の記録
 ④水質検査の記録(残留塩素、色、濁り、臭い、味)
 ※業者による検査を実施している場合はそちらも確認させていただきます。
 ⑤前回の簡易専用水道検査の結果書 ※新規検査施設の場合は不要
 ⑥施設の鍵(フェンス、マンホール、高置水槽のある屋上、受水槽室等)

Q13 検査に設置者(依頼者)が立ち会う必要はあるの?

A. 安全上の観点からも、原則は施設の方に立会をお願いしています。ただし、万が一立会いが難しい場合には事前にご相談ください。

Q14 検査当日の天気が雨だとどうなるの?

A. 当日の状況によりますが、天候が著しく乱れている場合には、衛生的や安全上の観点から判断し、検査を延期させていただく場合があります。

Q15 検査結果が不適だったんだけど、一体どうすればいいの?

A. 軽微な不適箇所が幾つか見られる場合(結果B判定)、検査員からの助言を元に速やかに対策を講じて頂きます。ただし、その結果を届け出る必要はなく、次年度の検査にて確認いたします。
水の供給について特に衛生上問題がある場合(結果C判定)、大至急対策を講じると共に、その結果を直ちに簡易専用水道の所在地を管轄する行政の部局に報告する義務があります。
報告の方法は、設置者様自ら行って頂くか、もしくは当事業団が代行して報告することも可能です。